コラム

特別方式の遺言

 自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言といった普通の方式のほかに特別方式の遺言があります。

 一つは、死亡の危急に迫った際の危急時遺言、もう一つは、一般社会から隔絶した環境にある際の隔絶地遺言です。

1.危急時遺言には下記の二つの方式があります。

【一般危急時遺言(民法976条)】

 疾病その他の事由により死亡の危急に迫った場合

【船舶遭難者遺言(民法979条)】 

 船舶が遭難した場合において、当該船舶中にあって死亡の危急に迫った場合

 飛行機搭乗中にも適用されると解されます。

2.隔絶地遺言には下記二つの方式があります。

【伝染病隔離者遺言(民法977条)】

 伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所にある場合

【在船者遺言(民法978条)】

 船舶中にある場合(死亡の危急にない場合)

 以上の特別方式の遺言は、遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から6か月間生存するときは、無効となります。

2025年12月19日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

秘密証書遺言

 自筆証書遺言と公正証書遺言のほかに秘密証書遺言があります。

 簡単にいうと、両者の中間的な方式です。

 秘密証書遺言は、①遺言者が、作成した遺言書に署名して押印し、②これを封筒に入れ、遺言書に押印した印鑑で封印をし、③公証人一人及び証人二人以上の前にその封書を提出し、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名および住所を申述し、④公証人が、その提出日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにその封紙に署名押印をして、作成します。    つまり、遺言の内容を公証人や証人にも示さず、遺言書の内容を秘密にすることができます。

 また、秘密証遺言の作成は、パソコンでも第三者の代筆でも構いません。

 ただ、その利用は下記のデメリットもありますので注意が必要です。

・承継人や財産の特定する事項に誤記があると、その部分について無効となる可能性があります。

・保管者や発見者により破棄改ざんのリスクがあります。

・家庭裁判所の検認手続きが必要です。

 

2025年11月24日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

遺言の証人の欠格事由

 公正証書遺言をするためには、証人二人以上の立会いが必要です。

 証人の役割は、その遺言が本人の真意によるものであることを証明することです。

 その役割の重要性から、この証人は誰でもいいというわけではなく、証人になれない欠格事由があります。(民法974条)

  ①未成年者

 未成年者は判断能力が十分ではないからという理由です。

 ちなみに未成年者自身は15歳以上であれば遺言することができます。(民法961条)

  ②推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

 遺言に内容に関し利害関係を有しているからです。

  ③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び使用人

 その遺言作成に携わった公証人とは離れて、独立した立場で本人の真意による旨の証明をするためです。

2025年10月25日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

成年被後見人の遺言

 家庭裁判所による後見開始の審判を受けた本人のことを成年被後見人といいます。

 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあることが、後見開始の審判の要件です。

 その成年被後見人が遺言をすることができるか、について民法973条に規定があります。

 成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会がなければならないとされています。

 その立ち会った医師は、遺言者が遺言をするときにおいて精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態にはなかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければなりません。

 つまり、遺言者が遺言の内容を自らの意思で表明し得てその法律上の効果を理解していることと、立会った2名以上の医師が一時的に判断能力が回復していることを認めることが必要です。

 成年被後見人が遺言をすることは非常に難しいといえます。

2025年9月23日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

相続人不存在②

 相続人の不存在が確定した場合、相続財産はその後どうなるのでしょうか。

 まずは。特別縁故者制度により、一定の被相続人の縁故者への財産分与を認められることがあります。

 つまり、家庭裁判所は、相当と認めるときは、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができるとされています。(民法958条の2)

 この請求は、相続財産管理人の選任及び相続権主張の催告(催告期間6か月以上)(民法952条2項)の期間満了後3か月以内にしなければなりません。

 「生計を同じくしていた者」としては、内縁の妻、事実上の養子、子の配偶者等相続人ではない親族がそれにあたります。

 「その他特別の縁故があった者」としては、定期的に金銭等を送るなど財産的貢献をした者、また最も頼れる存在としての精神的援助をした者が認められた事例があります。

 この特別縁故者制度により分与されずに残った相続財産は、国庫に帰属します。

2025年8月25日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

相続人不存在①

 人が死亡したとき、その相続人となるべき配偶者、子や孫等の直系卑属、父母や祖父母等の直系尊属、兄弟姉妹やその子等の存在が明らかではないときは、その相続財産は法人とみなされ、相続財産清算人が置かれて、管理・清算の手続きを進めます。

 具体的な手続きは下記のとおりです。

①家庭裁判所は、利害関係人または検察官の請求によって、相続財産管理人を選任します。(民法952条1項)

②家庭裁判所は、相続財産管理人の選任及び相続権主張の催告(催告期間6か月以上)の公告を行います。(民法952条2項)

③相続財産清算人は、相続債権者受遺者への請求申出の催告(催告期間2か月以上)の公告を②の催告期間内に満了するように行います。(民法957条1項)

④②の公告期間内に相続人がその権利の申出をしなかった場合、相続人、相続財産清算人にに知れなかった相続債権者及び受遺者は失権し、相続人の不存在が確定します。(民法958条)

2025年7月26日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

配偶者短期居住権

 被相続人の財産は、被相続人が死亡したことにより、相続人の共有になります。(民法898条)

 つまり、相続開始後から居住していた被相続人名義の建物も他の相続人と共有になりますので、請求されると他の相続人持分の家賃相当額を支払う必要が生じます。

 それを救済するため、配偶者が被相続人の許諾を得て、被相続人所有の建物に同居していた場合、特段の事情がない限り、被相続人と配偶者との間で、相続開始から遺産分割終了まで使用貸借契約が成立していたものと推認されるとされていました。(最高裁判例平成8年12月17日)

 しかし、遺言でその建物を第三者に遺贈したりする等特段の事情がある場合は推認されず、配偶者の保護としても十分ではありません。

 そこで、2018年民法改正により「配偶者短期居住権」が創設されました。

 配偶者短期居住権が成立する要件と、その効果は下記のとおりです。(民法1037条以下)

①要件

・被相続人の単独所有または共有持分を有する建物であること。

・相続開始時に被相続人の配偶者が無償で居住していたこと。

②効果

 下記場合に応じて定める日まで居住建物について、配偶者は無償で使用する権利を有する。

  1.  居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日、または相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日
  2.  居住建物について配偶者が遺産分割の当事者とならない場合(遺贈、遺言による相続等)、居住建物取得者の配偶者短期居住権の消滅(つまり退去)の申入れの日から6か月を経過する日

 これにより、配偶者は、相続開始後、少なくとも6か月の間に、新たな居住環境を整えることができます。

2025年6月25日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

配偶者居住権②

 配偶者居住権は、賃借権と類似の権利ですが、賃借権と違い、無償で使用及び収益することができ、居住建物の所有者は、配偶者に対し、配偶者居住権に設定の登記を備えさせる義務を負います。

 無償で使用及び収益ができる、ということは、配偶者がそこに住むことだけではなく、自らお店を営むなどして収益を得ることもできます。

 配偶者は、居住用建物の所有者の承諾を得なければ、建物の改築・増築、第三者に使用・収益をさせることはできません。

 配偶者は、居住建物の使用・収益に必要な修繕をすることができます。

 居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間に必要な修繕をしないときは、居住建物の所有者は、その修繕をすることができます。

 また、居住建物が修繕を要するとき、または居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は、居住建物の所有者に対し、地帯になくその旨を通知しなければなりません。

 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担します。

 この「通常の必要費」には、居住建物の保存に必要な修繕費のほか居住建物やその敷地の固定資産税等が含まれると解されています。

2025年5月25日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

配偶者居住権①

 夫が死亡して相続が開始した場合、配偶者である妻はこれまで住み慣れた自宅とともに老後のためのまとまった金銭を相続したいところです。

 しかし、相続財産が自宅不動産のほか、多少の預貯金程度である場合、自宅の土地建物の所有権の評価額が高額となるため、預貯金まで承継することは、他の相続人との関係で困難な場合があります。

 そこで、2010年4月施行の改正民法により、配偶者居住権が認められました。

 配偶者居住権は、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人名義の建物を対象とし、終身または一定期間、配偶者が無償で居住建物を使用・収益することができる権利です。

 配偶者居住権は所有権ではなく、無償で使用・収益できる居住権ですので、低廉な評価で確保できることになります。

 配偶者居住権の成立要件は下記のとおりです。

①配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していたこと

②その建物について配偶者について配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の遺産分割、遺贈、または死因贈与がされたこと

 配偶者居住権の存続期間は、原則として配偶者の終身の間です。

 ただし、遺産分割協議、遺言に別段の定めがあるとき、または家庭裁判所が遺産分割の審判において別段の定めをした場合はその定めの期間になります。

 終身ではなく、一定の期間の定めとした場合は、延長や更新をすることはできないとされています。

 存続期間が終身として配偶者が死亡した場合や、存続期間を一定期間としたときにその期間が満了すると、配偶者居住権は当然に消滅して、相続の対象にもなりません。

2025年4月29日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

同時死亡の推定


 複数の親族が同時期に死亡した場合に相続関係はどうなるのでしょうか。

 民法では、数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する、としています(民法32条の2)。

 その推定は、明確な反証によって死亡の時期の先後が証明できれば、覆されます。

 相続に関し、同時に死亡した者の相互において、相続関係は生じないことになります。

 これを事例で確認してみましょう。

【事例1】

 祖父A、その子B、Bの配偶者C、Bの子D

            A
            |
 
          B—C
               |
               D

 このうち、AとBが同時死亡と推定された場合、被相続人Aの相続に関し、Bは相続人とはなりませんが、Dが代襲相続人となります(民法887条2項)

 もし、BがAよりも後に死亡したとの証明ができれば、推定は覆され、Bは相続人となり、Bにも相続が開始して、その相続人はCとDとなります。

【事例2】

  子のいない夫婦AB

    A — B

 AとBの夫婦が同時死亡と推定された場合、AB相互間で相続関係は生じないこととなります。

 被相続人Aの相続に関しては、Aの直系尊属(直系尊属がすでに死亡している場合はAの兄弟姉妹、兄弟姉妹がすでに死亡している場合はその子である甥姪)(以下「直系尊属等」といいます。)が相続人となります。

 被相続人Bの相続に関しても同様で、Bの直系尊属等です。

 もし、Aの後にBが死亡したとの証明ができれば、推定は覆され、被相続人Aの相続に関しては、Aの直系尊属等のほかBの直系尊属等も相続人となります。

 一方、被相続人Bの相続に関しては、Bの直系尊属等のみとなります。

2025年3月16日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

遺産分割前における預貯金の払戻し制度

被相続人が亡くなると、まずはその葬儀費用等の支払いのための資金を用意する必要があります。また、被相続人ための債務の支払いをする必要があるかもしれません。

 しかし、平成28年12月19日最高裁判決による判例変更により、相続財産に属する預貯金について、遺産分割協議が成立するまでは、共同相続人全員の同意がなければ、各共同相続人は払戻すことはできませんでした。

 そこで、令和元年施行の民法の改正により、裁判所の手続きを経ることなく、一定の範囲で預貯金を払戻すことができるようになりました。

 各共同相続人が単独で払戻しを受けることができる額は下記のとおりです。

単独で払戻せる額 = 相続開始時の預貯金債権の額  × 1/3
                       × その共同相続人の法定相続分 

 ただし上限があり、上記金額が同一金融機関に対して150万円を超える場合は150万円までとなります。

 この権利を行使して払戻しをした場合、その共同相続人が遺産の一部の分割により取得したものとみなされ、その人の最終的な具体的相続分を超過する場合は、その超過分を遺産分割の際に清算することになります。

2025年2月25日
司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

相続分の譲渡

相続分の譲渡

 相続人は、遺産の分割前にその相続分を第三者に譲渡することができます。(民法905条参照)

 ここにいう「第三者」とは、共同相続人以外の第三者だけでなく、他の共同相続人も含まれると解されています。

 また、譲渡できる「相続分」とは、正の財産だけでなく、負の財産を含めた相続財産全体に対する持分であり相続人としての地位をいいます。

 譲渡とは、有償でも無償でも可能で、無償での譲渡とは相続分を贈与することになります。

 相続分を譲り受けた第三者は、遺産分割手続きの当事者となります。

 共同相続人の一人が第三者に相続分の譲渡をしたときは、他の共同相続人は、取戻権を行使して、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができます。

 この相続分の取戻しが認められるのは、譲受人が共同相続人以外の第三者である場合に限られ、他の共同相続人である譲受人への相続分の譲渡は認められません。

 取戻権の行使は、譲渡の時から1か月以内にしなければなりません。

2025年1月24日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

推定相続人の廃除

 相続人の廃除は、相続人の欠格と同様に、相続人としての地位・資格をはく奪する制度です。

 相続人の欠格は、重大な非行があれば、当然に相続人の地位・資格を失うことになりますが、相続人の廃除は、遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいいます。)に欠格事由より軽度な非行である廃除事由がある場合に、被相続人の意思により家庭裁判所の審判を経て相続人の地位・資格がはく奪されます。

 廃除事由は下記のとおりです。(民法892条)

①被相続人に対する虐待、重大な侮辱

②その他の著しい非行

 一時的な感情によるものや被相続人に非行の原因があるものについては認められない場合があります。

 また、②の「その他の著しい非行」において、被相続人に対する非行ではない場合は、審判例は慎重です。

 しかし、他人に対する非行であっても、被相続人及び他の共同相続人らに財産的損害や精神的苦痛を与え、その関係が破壊される程度のものであれば認められた事例(広島高裁岡山支部決定昭和53年8月2日)があります。

 廃除の手続きは、被相続人が家庭裁判所に請求するほか、被相続人は、遺言によって廃除することができます。この場合、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく家庭裁判所にその申立てをしなければなりません。(民法893条)

 廃除された推定相続人について、被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができます。(民法894条1項)

 また、被相続人が遺言で廃除の取消しの意思を表示たときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく家庭裁判所にその申立てをしなければなりません。(民法894条2項)

2024年12月15日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

欠格事由

  ゲルマン人の法律上の格言に「血塗られた手は、遺産を受け取れない。」というものがあるそうです。

 このように、相続人が非行を行った場合、相続人の地位がはく奪されるとして、下記のとおり相続人としての欠格事由が定められています。欠格事由に該当すると、相続人となることはできません。(民法891条)

① 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

② 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

③ 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

④ 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

⑤ 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

 以上の欠格事由が相続開始後に発生した場合でも、その効果は相続開始時に遡ると解されており、欠格事由発生前にされた遺産分割協議も無効となります。

2024年11月24日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

寄与分

 「寄与分」は、共同相続人が被相続人の相続財産の維持や増加に特別に寄与した場合、その貢献を認めて衡平を図る趣旨の制度です。

 寄与分を受けることができるのは、共同相続人に限られます。

 「特別の寄与」であることが必要で、夫婦間の協力扶助義務、親族間の扶養義務などの程度を超えるものです。

 寄与が認められる具体的な例は、被相続人の事業に関する労務の提供、財産上の給付、被相続人の療養看護等です。

 寄与した相続人の相続分の計算方法は、被相続人が相続開始時に有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、法定相続分や遺言で定めた相続分に寄与分を加えた額です。

 共同相続人の協議が調わないとき、又は協議することができないときは、家庭裁判所の調停・審判手続きを利用することになります。

 その場合、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定めます。

 なお、寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができません。

 また、共同相続人間の協議は、原則として、相続開始の時から10年内に行う必要があります。

2024年10月24日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

特別受益者の相続分

 被相続人に相続が開始した場合、通常は相続開始時に存在した遺産を分割することになります。

 しかし、相続人の一部が、被相続人からその生前に例えば下記のような利益を受けている場合は、その受益額を遺産に持戻し(加算)して相続分を算出することになります。

 ①婚姻のため贈与を受けた。(持参金、持参財産等特別な支度費用)

 ②養子縁組のため贈与を受けた。(持参金、持参財産等特別な支度費用)

 ③親から独立する際に贈与を受けた。

 ④債務を免除・肩代わりしてもらった。

 ⑤借地権等の贈与を受けた。

 この場合具体的な計算方法としては、下記のようになります。

 例えば、被相続人Aが1000万円を残して死亡した。その相続人は子BCであるが、BはAからその生前に200万円の贈与を受けていた。

 (みなし相続財産)  1000万円+200万円=1200万円

 (Bの本来の相続分) 1200万円×1/2=600万円

 (Bの具体的相続分) 600万円-200万円(生前贈与額)=400万円

 (Cの具体的相続分) 1200万円×1/2=600万円

 ただし、被相続人が上記のような特別受益とは異なる意思(持戻しの免除)を表示したときは適用されません。

 また、婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住用不動産を遺贈又は贈与したときは、被相続人は持ち戻しの免除の意思表示をしたものと推定されます。

 なお、持戻しの免除により遺留分が侵害された場合は、遺留分侵害額請求の対象となると解されています。

2024年9月23日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

相続人の欠格事由

 被相続人と一定の親族関係にある者に相続人である資格が認められています。

 しかし、下記の5項目に該当する場合、その相続人資格がはく奪されます。

① 「故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者」

 ①の「故意」とは殺人する意思であり、間違って死亡させてしまった傷害致死罪や過失致死罪は含まれず、既遂、未遂を問いません。

② 「被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。」

 ②は、被相続人が殺害されたとき、相続人は告訴告発する義務があることを示しますが、是非の弁別(善悪の区別・判断)ができない者や加害者の一定の範囲の親族は除かれます。

③ 「詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者」

④ 「詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者」

 ③④はともに遺言者の遺言の自由(撤回・取り消し・変更を含む)を保障する趣旨であり、詐欺行為・強迫行為とその遺言行為との間に因果関係が必要です。

⑤ 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

 ⑤も、③④と同様に遺言者の遺言の自由を保障する趣旨です。

 欠格事由があれば何らの意思表示や裁判手続きを必要とせず、法律上当然に相続人資格がはく奪される効果が生じます。

2024年8月20日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

胎児は相続人になれるか?

 人は、この世に生まれて初めて権利義務の主体となることができる「権利能力」を取得します。

 相続においても、被相続人が有していた権利と義務を包括的に承継する相続人となるためには、権利能力を有している必要があります。

 ところで、未だ出生していない胎児は権利能力者ではありません。

 しかし、相続は、血縁者である相続人に承継されるものですので、出生する可能性が高い胎児を相続人から除外することは、妥当ではないと考えられます。

 そこで、民法889条1項では、「胎児は、相続については既に生まれたものとみなす。」、同2項で「前項の規定は、胎児が死体で生まれてきたときは、適用しない。」と規定されています。

 つまり、権利能力者ではない胎児の出生を擬制して、胎児が生きて生まれれば、相続開始の時から相続人であったことになります。

 胎児は、「亡何某妻何某胎児」といて相続登記をすることができます。

 しかし、胎児は、出生前には、相続放棄又は遺産分割の協議をすることができません。

 出生後、未成年者の法定代理人が子に代わって遺産分割の協議を行います。

2024年7月20日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

相続人が未成年者又は成年被後見人である場合の熟慮期間

 相続人は、相続放棄又は限定承認をする場合、3か月以内に家庭裁判所に手続きをする必要があります。

 この3か月の期間を「熟慮期間」といいます。

 この熟慮期間が開始する時期、つまりその起算点は、通常、「自己のために相続の開始があったことを知った時」です。

 しかし、相続人が未成年者又は成年被後見人である場合は、その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算します。

 未成年者の法定代理人は親権者又は未成年後見人で、成年被後見人のそれは成年後見人です。

 重度の認知症高齢者である相続人に法定代理人がいない場合、その熟慮期間は進行せず、後見開始の審判とともに成年後見人が選任され、その成年後見人がその相続人のために相続の開始があった時から起算します。

 このような場合は、成年後見制度を利用して相続放棄等の手続きをすることになります。

                            2024年6月21日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

単純承認

 相続人が単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継します。

 つまり、相続人が単純承認すると、被相続人の正の財産を承継するほか、負の財産も承継することになり、被相続人の債務を弁済しなければならなくなります。

 注意しなければならないのは、下記の事由がある場合に単純承認とみなすと定められていることです。(民法921条) これを「法定単純承認」と言います。

①相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき。ただし、保存行為及び短期賃貸借を除く。

②相続人が熟慮期間内に限定承認または相続の放棄をしなかったとき。

③相続人が限定承認または相続の放棄した後であっても背信的行為(相続財産の隠匿、私に消費、悪意による財産目録不記載)をしたとき。

 ①の「処分」には、売却のほか、故意に壊す行為や、高価な財物の形見分けも含まれると解されますが、相続債務の弁済は「保存行為」にあたるため、法定単純承認には該当しません。

 従って、限定承認や相続の放棄を検討している場合は、法定単純承認とならないようご注意ください。

2024年5月22日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

限定承認

 「正の財産と負の財産の額がどちらが多いのかわからない。」「借金があるけど、自宅は残したい。」など、相続の放棄を躊躇する場合があります。

 そうしたとき、相続人が、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認(限定承認)をすることができます。

 つまり、具体的には下記のとおりです。

① 正の財産3000万円、負の財産2000万円 ⇒ 相続する財産1000万円

② 正の財産2000万円、負の財産3000万円 ⇒ 相続する財産 0円

 相続人は、限定承認をしようとするときは、相続放棄と同様に自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続財産の目録を作成して、家庭裁判所に提出し、限定承認をする申述をします。

 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してする必要があります。

 限定承認者は債権者等に対し、公告期間の満了後に、相続財産をもってそれぞれの債権額の割合に応じて弁済をします。

 もし、弁済をするためには相続財産を売却する必要があるときは、競売手続きによることになります。

 そのときに競売される自宅を残したい場合は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部または一部の価額を弁済して、その競売を止めることができます。

 限定承認は、相続人全員で限定承認をしなければならないこと、手続きが面倒であること、また、相続財産に不動産がある場合みなし譲渡初速税が課税される可能性があることなどからあまり利用されていません。

2024年4月24日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

相続放棄

 相続が開始した場合,相続人は次の三つのうちのいずれかを選択することになります。 

①相続人が、被相続人の土地・預貯金など正の財産や借金など負の財産の全て承継する「単純承認」

②相続人が、相続により承継する正の財産の限度で負の財産を承継する「限定承認」

③相続人が、正の財産も負の財産も一切承継しない「相続放棄」

 被相続人に正の財産を超える多額の債務がある場合やこれまでの経緯から被相続人のことには関わりたくないとの理由により、相続放棄をすることがあります。

 相続人が相続放棄をするためには、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月(これを「熟慮期間」といいます。)以内に家庭裁判所において相続放棄の手続きをする必要があります。(民法915条1項)

 「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、①被相続人が死亡した事実を知っただけでなく、②自己がその相続人であることを認識した時です。

 相続財産構成の複雑性、その所在場所、相続人の居住が遠隔地であるなど理由がある場合は、家庭裁判所に3か月である熟慮期間を伸長する申立てをすることができます。

 ところで、熟慮期間を過ぎたのちに多額の借金があることが判明したら、相続放棄はできないのでしょうか。

 相続人が熟慮期間内に限定承認又は相続放棄をしなかったのが、相続財産(正の財産及び負の財産)が全く存在しなかった信じ、そのように信じることに相当な理由がある場合は、相続財産の全部または一部を知った時から3か月の熟慮期間は進行する、との最高裁判決があります。(最判昭和59年4月27日)

2024年3月30日

                  司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

法務局による自筆証書遺言書保管制度

 令和2年7月10日から新しい遺言書の制度が創設されました。

 従来の自筆証書遺言を法務局で保管をしてもらう制度です。

  (詳細はこちら:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

 その概要は下記のとおりです。

【保管申請】

・遺言者は、本籍地、住所地、所有不動産所在地を管轄するいずれかの法務局を選択し、その法務局に出頭して申請手続きを行う。

 (管轄の詳細はこちら: https://www.moj.go.jp/MINJI/07.html

・その際法務局は、遺言者本人であることの顔写真付き証明証明書による本人確認を行い、申請された自筆証書遺言が形式に適合するかチェックを行う。

・遺言者は、その希望により、死亡時通知の対象とした者(相続人、受遺者、遺言執行者等1名)を指定できる。

【相続開始後】

・相続開始後、相続人が法務局にて閲覧や遺言書情報証明書の交付が受けられる。

【相続人への通知】

・法務局は、遺言者が保管時に指定した相続人に対して、戸籍担当部局との連携により遺言者の死亡が確認できた時に遺言書が保管されている旨の通知をする。

・法務局は、相続人のうちの一人が、相続人が閲覧請求、証明書交付請求をした場合、他の相続人全員に対して、法務局に遺言書が保管されている旨の通知がされる。

 この制度の長所は、自筆証書遺言の長所である、遺言者だけで作成でき、証人も不要で、費用も低廉(保管申請時に3900円)であることです。

 さらにこの制度特有の長所として、①その形式的要件は審査されるためその不適合で遺言が無効になるおそれはないこと、②紛失、盗難、毀損等の恐れもないこと、③家庭裁判所の検認手続きが不要であること、④死亡時通知制度があるためその存在を相続人に知らしめる手段があることです。

 一方、短所は、①遺言者が本人確認のため管轄法務局に出頭する必要があること、②形式的要件以外は審査されないため、自筆証書遺言と同様に、承継人や財産の特定する事項に誤記があると、その部分について遺言の効力が生じない可能性があることです。

2024年2月28日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

公正証書遺言

公正証書遺言の作成は、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授(言葉に発して伝えること)する必要があります。

 この場合、証人二人以上の立会いがあること、公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧させること、等が必要です。

 言葉を発することができない人は通訳者を介して遺言することができます。

 遺言者が病気等のために、公証役場に出向くことが困難な場合などには、公証人が、遺言者のご自宅、介護施設、病院等に出張して、遺言公正証書を作成することが可能です。

 ただ、その公証人が所属する法務局・地方法務局の管轄外への出張はできません。

 東京法務局の所属する公証人であれば、東京都内であれば出張できます。

 公正証書遺言のメリットは下記のとおりです。

①遺言者が自書しなくていいこと

②法律専門家が作成するため、方式等で無効になるおそれがないこと

③相続開始後に家庭裁判所での検認手続きが不要であること

④公正証書遺言の原本が公証役場で保管されるため、紛失しても再交付が可能であることや隠匿・改ざんの恐れがないこと

⑤1989年(平成元年)以降に作成された公正証書遺言であれば、遺言の効力発生後に全国の公証役場で被相続人の遺言の有無について、検索が可能であること

 一方デメリットは、公証人への報酬の支払いが必要なため、費用がかかることです。

 依頼者から相談を受けた場合、安心で確実ですので、公正証書遺言をお勧めしています。

                            2024年1月24日

                    司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

自筆証書遺言

 遺言の方式には何種類かありますが、それぞれ長所と短所があります。

 今回は、そのうち自筆証書遺言を説明します。

 自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに押印したものです。(形式的要件)

 全文を自書することが原則ですが、自筆証書遺言にこれと一体のものとして相続財産目録を添付する場合は、この目録は自書でなくてよいことになっています。

 例えば、財産を特定する事項を自書する代わりに、不動産であれば登記事項証明書、預金であれば預金通帳等の写しを添付します。

 この場合、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合は、その両面)に署名し、印を押印します。

 自筆証書遺言に加除その他変更する場合は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を引きして特にこれに署名し、かつ、その変更場所に印を押さなければなりません。

 自筆証書遺言の長所は、遺言者だけで作成でき、証人も不要で、費用もかからないことです。

 ただし、その短所は、その形式的要件を満たさないと遺言として無効になること、また、紛失、盗難、毀損等の恐れがあること、遺言者が死亡した後に家庭裁判所に検認の申立てを行う必要があることです。

 また、承継人や財産の特定する事項に誤記があると、その部分について遺言の効力が生じない可能性があります。

 よって、自筆証書遺言を作成する場合は、書籍を参照するか、専門家に見てもらうなどしたほうがいいでしょう。

2023年12月25日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

遺言と遺言事項


 人は、生前に最終の意思として遺言することができます。

 遺言者は、いつでも過去にした遺言の全部または一部を取り消すことができます。

 遺言者が、前の遺言内容と抵触する遺言をしたときは、前の遺言の抵触部分は取り消されたとみなされます。

 つまり、遺言は何度でもでき、前の遺言と抵触する場合は最後の遺言が有効になります。

 遺言で実現できる事項は法律で定められており、その遺言事項は下記のとおりです。

(1)遺産相続について

①相続分の指定・指定の委託(民法902条)

②特別受益の持戻しの免除(民法903条3項)

③遺産分割方法の指定・指定の委託(民法908条)

④遺産分割の禁止(民法908条)

⑤共同相続人の共同担保の別段の定め(民法914条)

⑥遺贈(民法964条)

⑦相続させる旨の遺言(民法1014条2項)

⑧受遺者等の遺留分侵害額の負担の別段の定め(民法1047条1項2号ただし書き)

(2)身分行為について

①認知(民法781条2項)

②未成年後見人の指定(民法839条1項)

③未成年後見監督人の指定(民法848条)

④推定相続人の廃除(民法893条)

⑤推定相続人の廃除の取消し(民法894条2項)

(3)遺言執行について

①遺言執行者の指定・指定の委託(民法1006条)

(4)その他

①祭祀を主宰すべき者の指定(民法897条1項ただし書き)

②一般財団法人設立の意思の表示(一般社団法人一般示談法人法152条2項)

③信託の設定(信託法3条2号)

④生命保険金の受取人の指定・変更(保険法44条)

 遺言事項以外を遺言書に記載しても法的な効果は生じませんが、付言事項として、遺遺族に対する感謝の気持ちや、遺言の理由を記載することはあります。

                           
2023年11月17日

                    司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

遺産分割

 亡くなった方の財産は、亡くなった時点でその共同相続人全員の共有状態になります。

 もし、亡くなった方が遺言を残していればそれに従うことになります。

 しかし、遺言がない場合は共同相続人の協議により、その分割方法を決めることになります。

 遺産分割の協議は、共同相続人全員の参加が必要であり、一部の相続人を除外してなされた協議は無効です。

 例えば、相続人のうちの一人が行方不明である場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てを行い、選任された不在者財産管理人が許可審判を受けて遺産分割協議に参加します。

 また、胎児にも相続権がありますので、その場合は出生を待って家庭裁判所が選任した特別代理人等が参加します。

 遺産分割協議が整わない場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停の申立てを行います。

 調停では話合いがまとまらないと、調停は不成立になりますが、その場合は審判手続に移り,審判で決着することになります。

2023年10月23日 

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

借金も相続するのか?

 奥さんに先立たれたAさんには長男Bさんと長女Cさんがいます。

 Aさんは雑貨屋を経営していましたが、その長男Bさんがその事業を承継しました。

 このたび、Aさんは、預貯金500万円のほか、以前に金融機関から借りた借金が100万円残っていた状態で亡くなりました。

 この場合、BさんはAさんが始めた事業を承継し、その100万円はその事業を行う上での借り入れであった場合、BさんとCさんは、預貯金500万円はBさんが相続するとともに借金100万円もBさんが返済したい、と考えています。

 つまり、遺産分割協議で、借金の承継先も相続人間で決めることができるか、が問題です。

 答えは、遺産分割協議での借金に関する合意は、債権者には及ばない、ということになります。

 預貯金等の正の相続財産は、共同相続人全員による遺産分割協議で誰が相続するかを決めることができますが、借金等の可分債務は法定相続分に基づき各共同相続人がそれぞれ承継します。

 もし、Bさんが100万円全額の借金を承継するためには、遺産分割協議でBさんがCさんが承継した法定相続分の債務を債務引受する内容で定め、債権者の同意を得ることが必要です。

 このような場合は債権者である金融機関に相談をしてみましょう。 

2023年9月27日

       司法書士・土地家屋調査士  矢頭範之

法定相続分とは?

 法定相続分とは、被相続人の遺産を各相続人が承継する権利の割合のことで、民法で定められています。

 通常、遺言があれば、各相続人間で遺言に従って遺産を分配します。

 遺言がなければ、相続人全員で遺産分割協議を行って、その分配方法を定めます。

 遺産分割協議が整わない場合、家庭裁判所で遺産分割の調停・審判の手続きを行いますが、その分配割合の基準が法定相続分です。

 つまり、遺産分割において紛争が生じて家庭裁判所で遺産分割の手続きを行う場合は、原則として法定相続分によって各相続人の分配方法が定まります。

 法定相続分は、下記のとおりです。子、直系尊属または兄弟姉妹が数人あるときは各自の相続分は均等です。(民法900条)

配偶者と子:配偶者1/2 子1/2

配偶者と直系尊属:配偶者2/3 直系尊属1/3

配偶者と兄弟姉妹:配偶者3/4 兄弟姉妹1/4

 子が被相続人の死亡前に死亡しているときは、子の子が代襲相続人となりますが、その法定相続分は子が受けるべきものを子の子が取得します。

 たとえば、夫Aと妻Bとの間に長男Cと長女Dがいる場合、その長男Cが父Aの前に死亡していて、その長男Cに子がEFの二人いる場合、亡Aの相続における法定相続分は下記のとおりです。

 妻B :4/8
 長女D:2/8
 孫E :1/8
 孫F :1/8

                             2023年8月23日

                     司法書士・土地家屋調査士 矢頭範之

相続人はだれか?

 相続人には「血族相続人」と「配偶者」たる相続人に分けられます。

 血族相続人には、被相続人の子、直系尊属、兄弟姉妹のほか、養子縁組により養親と養子との間にも法定血族関係が発生します(民法727条)のでそれに含まれます。

 配偶者は、ほかに血族相続人がいない場合は単独で相続人となります。血族相続人が存在する場合は常に同順位で共同相続人となります(民法890条)。

 血族相続人は次の順位で相続人となります。

 第1順位は、被相続人の子です。子が被相続人の死亡前に死亡しているとき、相続に関する欠格事由があるとき、廃除されたときは、その子の子(直系卑属に限る。)が代襲相続人になります。また、その子の子が被相続人の死亡前に死亡しているとき等はその子の子の子(直系卑属に限る。)が代襲相続人になります(民法887条)。

 第2順位は、第1順位の子らがいない場合は、被相続人の直系尊属(つまり、父母又は祖父母等)です。直系尊属の中では親等が近い者を優先します(民法889条1項第1号)。

 第3順位は、第1順位の子らがいない場合で、さらに第2順位の直系尊属がいない場合は、被相続人の兄弟姉妹です。兄弟姉妹が被相続人の死亡前に死亡しているとき、相続に関する欠格事由があるとき、廃除されたときは、その兄弟姉妹の子(直系卑属に限る。)が代襲相続人になりますが、第1順位の代襲相続と違い、その兄弟姉妹の子が被相続人の死亡前に死亡しているとき等はその兄弟姉妹の子の子は代襲相続人とはなりません(民法889条1項第2号、889条2項)。


                            2023年7月20日

                     司法書士・土地家屋調査士 矢頭範之

相続とは何か?

 人は何らかの権利を有し、義務を負っています。

 たとえば、銀行に預金を預けていればその預金を払い戻す権利(資産)を有していますし、他人にお金を借りていれば借金を返済する義務(負債)を負っています。

 相続とは、それら財産法上の権利と義務を、その人の死亡後に民法の規定に定められた相続人に承継させることです。

 ここでご注意いただきたいのは、借金等の負債も相続するということです。

 ただ、使用貸借における借主の地位(民法597条③)や組合員の地位(民法679条)など、亡くなった被相続人のみに帰属する一身専属的な財産法上の権利義務は承継されません。

 相続の発生原因は、死亡のほか、失踪宣告(民法30条)が挙げられます。 

 失踪宣告はそれを受けた場合にも死亡とみなされます(民法31条)。

 また、水難・火災その他の事変によって死亡したことが確実とみられる場合の官公署による死亡認定(戸籍法89条)制度があります。

       2023年6月28日

司法書士 土地家屋調査士 矢頭範之

ホームページを開設しました。

 このたび、当事務所のホームページを開設いたしました。

 私は、司法書士・土地家屋調査士の矢頭範之(やとうのりゆき)と申し上げます。

 私がものごころがついたころから、父は同地付近で司法書士、土地家屋調査士事務所を開業しておりました。

 むかしの事務所には住居部分もあり、そこから幼稚園と小学校に通っていました。

 このたび、父は96歳ということもあって、私が事務所を引継ぐことになり、それに伴い、ホームページを開設した次第です。

 司法書士業務は、相続、遺産整理、その他不動産登記、商業・法人登記、成年後見、裁判事務と幅広く行ってきました。

 土地家屋調査士業務は、建物を中心として行っており、測量を伴う業務は、他の土地家屋調査士事務所と連携しております。

 私の前職は、会社員でした。
 それ以前は、父の跡を継いで司法書士等になろうとは思わなかったのですが、社会に出て、社会とのつながりを経験し、専門職で社会に貢献したい、という気持ちが強くなり、退職し、資格を得て、現在に至っております。

 
 相談しやすさと丁寧に務めることを心がけております。

 お気軽にご相談いただけますよう、お願い申し上げます。

            司法書士 土地家屋調査士  矢頭範之
2023年6月11日


矢頭事務所
〒124-0001
東京都葛飾区小菅4-21-9
tel. 03-3602-2982